山行記録の検索
Calendar
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>
LINE
最新の山行記録
山行形態
コメント一覧
リンク
携帯用QR
qrcode
RSSATOM
広島勤労者山の会創立30周年記念事業集中登山:自主企画2 八右衛門沢から霞沢岳
CL楠堀,SL大藤(安佐岳友会),久保田,山本

この自主企画の構想について,その概要は年明け頃から考えていた.明神岳と上高地をベースにしてもうひとつできないかというものだった.その有力候補は霞沢岳であった.当初二つ目の山行は単独で行う予定であり,単独なら霞沢岳の一般ルートでいいだろうと考えていた.ところが日が近づくにつれて,もう一本バリエーション登ることはできないだろうかと考えるようになっていった.そんな時,以前大藤さんから頂いた六百山の映像を思い出し,更に大藤さんから霞沢岳には他にもルートがあることを教えていただき,たどり着いたのが八右衛門沢から霞沢岳への登高だった.この自主企画はバリエーションを二本登るというのが計画の全体像になった,

堀内さんは抜けたが,宮本隊から山本さんが加わって,また4人で登ることになった.

8/17 実は自主企画2は17日から始まっていた.明神から下山後,八右衛門沢の入り口を確認することにしていたからだ.帝国ホテル裏のバス道路を進めば「八右衛門沢橋」がかかっていて,そこが入り口であることを確認するのが目的だ.帝国ホテルから200mも行けば八右衛門沢橋だ.

八右衛門沢橋
263

264

八右衛門沢橋を確認して,夜の集いに参加するために上高地公園活動ステーションに向かう.田代橋を渡って,ウェストンのレリーフを見ることにする.小川が流れる場所の壁にはめ込まれていた.そして,レリーフから見る八右衛門沢は,ちょうど上部奥深くまで見渡せる場所になっていた.

レリーフ
283-1

レリーフ前から見た八右衛門沢
280

8/18 午前4時起床,5時過ぎには出発した.河童橋まで来て,何とヘルメットを忘れたことに気がつきテントまで戻る羽目に.失態だ.

ところで,実は明神岳からの下山では,実はこの八右衛門沢の方が明神岳よりもやっかいなのではないかと話し合っていた.前日の下見を終えても,やはり上部は急峻で,小沢が入り組み迷い込みやすい,それに情報が少ない・・・.そんなことから八右衛門沢はかなり手強いのではないかと予想していた.

八右衛門沢橋脇にある林道から入る.
299

しばらくすると不思議な何かが立っている.これはweb上で紹介されている.
300

林道終点地点は,作業用の小屋が建っていた.
302

防災用だろうか,工事が進められているようだ.
304

ここにある堰堤を越えると,いよいよ沢歩きだ.ここからヘルメットをつける.
305

しばらく行くと,土石流センサーと紹介されているワイヤーシステムが現れた.電源とつながっているようだ.
306

大きな堰堤が現れる.左から越える.
308

古い堰堤も現れる.
310

すぐに巨岩帯に入る.
312

web上で紹介されているV字岩もあった.
317

巨岩は,正面突破できるものもあるが,大概は巻くことにした.3〜4級程度の岩がこれでもかと続く.抜けたかと思えばザレ・ガレが続く.予想通り落石には注意しなければならない.ロープで確保して進むこともあった.セルフビレーも取れないので,久しぶりに肩がらみ確保を行った.
318

巨岩を抜ける山本さん
320

このやや赤い岩は,ウェストンの足跡をたどっておられる御夫婦のサイトに掲載されている写真の岩にそっくりだ.
http://yamanotecho.web.fc2.com/01choivari/doc/1010hachiemonzawa_kasumizawadake01.htm
327

ここが恐らく,三本槍沢との分岐だろう.ここを右に進む.
329

巨岩帯が出現したので,やぶに入って巻くことにする.
336

八右衛門沢の大岸壁の下部地帯が見える.
337

巻いた巨岩帯.ここをロープを使って対岸に上がって進んでいるパーティーもあった.
http://jac.or.jp/info/cat40/sansoo/post-570.html


巨岩が現れた.ここも右に進む.左は枝沢だろうか.
341

石が積んであって,ひと安心?!
342

まだまだ巨岩が出現するが,「抜けた」感が出てきた.
343

しかし,このあたりから一層急峻になり,ザレ・ガレも厳しくなる.
344

ひどいザレ場.簡単に足を踏み出すことはできない.
347

山本さん
350

またしても分岐が現れた.
357

左分岐方向を眺めていると,特徴のある巨大ピナクル状の岩が確認できる.通称「ローソク岩」というようだ.更にそのローソク岩の右側奥には,何ともはっきりした感じのルートらしきものが続いているではないか!

ローソク岩
359

ローソク岩のアップ
361

地形図でそれらしき場所を特定し,これも右(青色方向)に進む.
ローソク岩

結論を言えば,実はこのローソク岩の右脇を通って稜線に上がっている事例が紹介されている.その場合,K1近くまたはK1下部で稜線と合流しているようだ.稜線に早く上がりたいのであればそれも一つの方法だ.私たちは右に進む.

涸れ沢を登る.
363

このあたりでミスを犯す.進んだ涸れ沢はガレ・ザレがミックスになっていて,落石のリスクがかなり高い.ところが,この涸れ沢の下部で,黒い石の塊を見つけていた.それは20m程続いていただろうか.明らかに沢が涸れたあとだった,しかも古い岩であることは明らかだった.しかし灌木・雑草が生い茂っていて,石を辿ることはためらわれた.右に進んでいるようだったが,左に進む明瞭な涸れ沢に入って行ってしまった.しかしこれがなかなか大変だった.ほんの数十センチが進めない.

ガレとザレのミックス帯.落石のリスクが高い.
365

危険と判断して,落石をよける位置で踏ん張って,一人ずつ登っていくことにする.大藤さんが登っていくが,上部で動けなくなってしまった.この涸れ沢を詰めると,左壁に入っていけるようだったが,これ以上の行動は危険だった.このあたりでかなりの時間をロスする.
結局,右手のやぶの中に逃げて行動することにしたが,「はまった」ということは明らかだった.一挙に不安が増幅する.正念場を迎えたのは間違いなかった.

やぶを進む.
366

もともとやぶこぎはあまり得意ではないが,このあたりから疲労感が増してきた.草付きで苦労している間に,3人が先に進んでいった.山本さんは身軽に進んでいる.皆問題なさそうだ.だが先に進むとリッジが出現し,灌木をつかみながらの進行になる.この先の様子も分からない,不安が先行する.
色々なことが頭をよぎった.ネガティブなことが頭をよぎる.妻の真記と生まれてくるこどものこと,これから想定されること,・・・.しかし,こんな時こそ自分をはげますことが必要だと思い直すことができ,自分を激しく叱咤激励した.

先行していた大藤さんと久保田さんが検討してくれていて,その結果今進んでいる小尾根を進んでも窮まるだけなので,一旦右側の谷に懸垂下降で降りて,その先にある別の小尾根に取りつこうということになった.その小尾根がK2方面に延びていて稜線に出られそうだという判断だった.

助けられたなあと思うのは,誰もパニックになっていなかったことだった.疲れながらもお互いに声を掛け合って,お互いの存在を意識できているような雰囲気があった.更に,このあたりになって大藤さんの声が一層優しさを増して聞こえてくる.焦っても仕方ないことは皆分かっている,ここは冷静に,安全に,確実に進みましょう!そう言って懸垂下降に入った.

小尾根目指してやぶこぎで進む.
367

やぶこぎもあと100mと考えると辛くなるので,「あと30分」と考えるようにした.小尾根に何とかたどり着けた.だがさすがにバテてきた.しゃりバテしているのではないかと久保田さんに指摘される.ここでトップを久保田さんに交代してもらう.小尾根もリッジ状になっている部分もあり,岩も出てきた.3級程度の岩場だがここで岩を登るのは辛い.周辺の灌木をつかんで岩を越える.

小尾根を進む.
368

稜線まであとわずか!
370

そして,久保田さんの「ついたぞー」という絶叫が聞こえた.もう稜線だと思いながら進む.すると目には,しょぼいが確かな登山道が入ってきた.山本さんと大藤さんも稜線にでる.不安から解放されて涙を止めることはできなかった.K2の直下だった.

登ってきた小尾根
373



9時間半以上かかって稜線にたどり着いた.気持ちをを入れ替えて頂上を目指すことにした.

霞沢岳頂上にて.
1200

正直あまり余裕はなかった,一刻も早く下山にとりかかりたかったが.「ここで焦っても仕方ない」と聞こえてきた.ザックを置いた場所まで戻って食べ物を口にして,それから慎重に,ゆっくり下山することにした.時間をかけて下山することにした.

K1以降は,これでもか,というくらいの下降の連続だった.当面の目標は徳本峠小屋だ.上高地が大目標だが,着いたら22時を過ぎることは間違いない.徳本峠までの様子をうかがいながらの判断が必要だろう.19時頃にはヘッドランプをつける.

徳本峠小屋に着いたのは20時頃だった.小屋に恐る恐る入っていって,ご主人に「飲み物売って頂けませんか」と尋ねる.柔和なご主人からコーラとポカリスエットを購入して落ち着く.

ご主人「どこから来たの?」
私「八右衛門沢からですが,はまってしまって・・・.」
ご主人「ガイド?」
私「いえいえ,広島勤労者山の会というものです.」
ご主人「どこまで行くの?」
私「上高地までです.」

久保田さんがご主人と話して,K1とK2の間の小尾根を上がったのであればそれであっているとのことだった.おそらく最終的には「間違っていなかった」のかもしれないが,・・・.

徳本峠小屋から明神までまでも長かった.虫があかりに誘われてまとわりついてくる.明神に着いたものの,自動販売機は電源が入っていなくてがっかりする.最後の休みを取ってラストスパートだ.

小梨平に着いたのは22時半頃だった.食堂の自動販売機が稼働していて,ビールが売っている!早速購入して,自動販売機前で乾杯して山行を終える.

テント近くのテーブルに一人ぽつねんと座って,山行を振り返ってみる.まだ自分自身で十分に消化できていないようだった.一つ理解できたのは,今回のような山行は,一人なら重い山行となって記憶に残る可能性が高かったと思うが,今回はそうならなかった.それぞれが役割を果たして,乗り越えたという感覚だった.良き仲間に巡り会えたということでもあるのだろう.

嘉門次とウェストンは,それぞれ優れた案内人・登山家であると改めて思う.たった一つの沢筋を見誤るだけでこのような苦戦に陥るとは分かっていたとはいえ,改めて山の難しさを思い知ることになった.良き仲間とともに登ることが出来て幸せだった.

ありがとう八右衛門沢,ありがとう霞沢岳.


posted by: kussan | アルパイン | 10:49 | - | - |-