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野根山街道 ―甲浦駅から奈半利駅へ―

期 日】2016年10月14日(金)〜16日(日)

【参加者】H内

【地形図】甲浦、名留川、入木、奈半利 1:25,000地形図

【コース】甲浦駅〜野根〜押野〜左手ヶ坂〜四郎ヶ野峠〜一の門〜野根山〜岩佐関所〜

     お産杉〜装束山〜宿屋杉〜旧藩林〜米ヶ岡〜朝休み〜高札場〜奈半利駅 

 

 高知、徳島県境の海部山系へは何度か歩いている。

 過去、四ツ足峠から赤城尾山、甚吉森、大木屋小石川トンネルまで縦走した。

その先の室戸岬にかけて歩くのにいいところがないか地形図とネットで調べてみる。

そして野根山街道の存在を知った。

ハイキング道として整備されており、距離が長くて歴史も深く興味が湧く。

さらに野根から四郎ヶ野峠へは国道493号の他に左手ヶ坂の古道もあることを知った。

東西横断のアプローチは徳島県側と高知県側に分かれるが、共に鉄道がある。

なら、バスを使わずに鉄道終端駅から終端駅まで歩き通した方が面白い!

行程は全て高知県内で、東洋町、室戸市、北川村、奈半利町に跨る。

 

夕闇迫る徳島平野の風景を眺めつつ、通勤通学客で混雑する列車で甲浦に向かった。

 

【行程1日目】 行動時間 0時間15 天気 晴れ

 甲浦駅20:20〜20:35白浜海岸

 

 甲浦駅から白浜海岸へ

  JR牟岐線の列車から阿佐海岸鉄道の普通列車に乗り換えると乗客は自分だけ。

  列車は私ひとりの貸し切り状態で終着駅の甲浦駅へ。

  甲浦駅は以前、大阪からのフェリーから乗り継いで以来の訪問だ。

  駅には誰も居ず、秋の虫の音が響いているだけだ。

  街灯のある夜道を歩き、浜に出る。

  徳島のデパートで買った弁当とゆず酒が本日の夜ご飯。

  目の前の海のうえに出た月が美しい。

  波の音を聞きながら明日に備えて早めに就寝。

 

甲浦行き列車(乗客は自分だけ)       甲浦駅到着

 

【行程2日目】 行動時間 9時間25 天気 快晴のち午後から薄曇り

白浜海岸6:25〜生見7:00〜明徳寺7:30〜7:40野根の街と海岸8:20〜押野橋8:40

〜9:25左手ヶ坂入口(押野川の渡渉地点)9:40〜国道大カーブ(案内板)10:40〜

10:50四郎ヶ野峠11:15〜花折峠12:20〜清助地蔵(水場分岐)12:50〜

一の門13:10〜五里塚13:45〜地蔵峠14:25〜野根山15:30〜15:50岩佐関所

 

 白浜海岸から野根へ

  朝は快晴で迎える。

  海岸で犬散歩の人とあいさし、国道55号を南に辿る。

  生見の手前ではトラックが通るすぐそばに鹿の群れが居る。

  その後、日本一周を自転車で旅している人やお遍路さんの姿も見える。

  朝早く人の気配の少ない生見の町を抜け、海岸沿いに進むと野根の町だ。

  旧道に入り、案内板で知った明徳寺に立ち寄ってみる。

  住職さんらしい方と少し話す。

  野根山に行くことを話すと、その方は行ったことが無いとのこと。

  安全に行かれるよう言っていただいた。

  南の端まで街道筋の集落を抜けるが、お店が見当たらない。

  少し食料を買うつもりなのでどうしよう。

  すると出会った人から「こけら寿司」が名物でおいしいよと聞く。

  野根山街道の話や熊の話など・・・。最近牟岐町に熊が出て話題だとか。

  国道の通る海岸に出ると朝市があった。

  海岸に降りて海の風景を楽しんだ後、帰りに寄って買う。

  お酒も買いたいので場所を尋ねると親切にも途中まで案内していただいた。

  小さな地元のスーパーでちょっと買い足しして野根の街を離れる。

白浜海岸からの朝日

 

生見海岸                  野根から四郎ヶ野峠への山並み

 

野根の街並み                野根の海岸

 

 野根から左手ヶ坂(さでがさか)を通り四郎ヶ野(しろがね)峠へ

  国道493号の北側に並行する集落を抜ける道を歩く。

  押野橋手前で国道と合流し、橋を渡った先に八島千軒の立派な看板がある。

  根野山街道は時代によりルートが変遷している。

  国道を歩いて峠まで行くのは面白くないので、この分岐を右に入る。

  しばらく進んだ先の家でコースを間違えていると声を掛けられた。

  「左手ヶ坂を通って行きます」と言うともう道は無いだろうとのこと。

  読図は得意だから大丈夫だと話し、先に進む。

  やがて勾配が少し急になり、左に堰堤を見た先が地図上での古道の分岐だ。

  道があるかよく観察するが分からない。

  地図と照らし合わせ、適当に藪に突っ込んでみる。

  すると左岸を上流に向かって伸びる石垣の残った道に出る。

  しかし、道の上は灌木と茨の藪で辿るのが困難だ。

  そこでそのまままっすぐ川に出る。

  ここで15分ほど休憩する。こけら寿司を食べる。美味い。

  さて、飛び石で渡渉し、正面の藪を突破する。

  想定通り、川を渡って折り返して来た古道に出た。

  しかしここも斜面側から張り出した灌木で辿り難いので横断して直上する。

  しばらくしてすっきりした植林帯となり、ジグザグに進む古道に再び出た。

  ここから先は忠実に左手ヶ坂の古道を辿る。

  しっかり掘り込まれていて道幅もあり風格がある。

  勾配が一定になるようつづら折れで山腹を縫う。

  尾根に乗ってからも、一定の勾配でうまく高度を稼ぐよう工夫されている。

  やがて国道の大カーブ下で道が寸断され、アスファルト道によじ登る。

  ちょうどそこには左手ヶ坂を解説した立派な看板が建っている。

  国道を10分ほど歩くと四郎ヶ野峠に着いた。

左手ヶ坂の古道をゆく

 

沢を渡渉する(標高90m)          つづら折れの古道(標高230m)

 

四郎ヶ野峠の大きな看板           広葉樹林に続く道

 

 四郎ヶ野峠から一の門へ

  峠のあずまやで25分の休憩。今日の後半の歩きに備えゆっくり休む。

  この峠からは先、奈半利駅まで藪道は無く、整備されたハイキング道だ。

  出発してしばらくで、どうも大雨があったせいだろうか?道が悪い。

  道幅は広いが、道の真ん中まで枯れ枝と小石が積もって散乱している。

  この状態は車道を除いて最後まで続いていた。

  野根山街道は距離が長いので再度整備するには相当時間が掛かるだろう。

   P716まで登りが続くので、息を整えてゆっくり登る。

  南に尾根を辿って花折峠で少し休憩。

  大崩壊したというこの先の最短ルートは踏み跡も見えない。

  峠からは右側山腹を巻いて下っていく。

  やがて左から下がってくる尾根に乗りひとつ緩いピークを越える。

  越えた先は自然林に覆われた広い鞍部で、清助地蔵の看板がある。

  右側から沢の音が聞こえ、水場まで100mとある。

  ここから標高差150m登って小坂山への分岐が一の門だ。

 

 一の門から途中、野根山に寄り、岩佐関所まで

  ゆるやかになった道を進む。

  広葉樹が多くなり、道は尾根の少し南側にある。

  五里塚のあたりは尾根が広くなっていておだやなか雰囲気。

  紅葉にはまだまだ早い。

  地蔵峠手前で左に段ノ谷登山口への道が分かれる。

  そのすぐ先が地蔵峠。ここも分岐があり、具同寺を示す道標がある。

  地蔵峠の謂れが書かれた案内板がある。

  野根山街道は要所要所に立派な案内版がある。

  今日は天気が良く、もっと人が来てもよさそうなのに誰にも会わない。

  しばらく単調な道で早く歩けるようになる。

  20分ほど進んだ標高900mで道がやや右に曲がる。

  ここで展望が開け、これから向かう尾根筋と、南側の展望が開ける。

  特に南にあるP946.5mが良く見えるが山の名前は分からない。

  午前中の晴天はどこかにいき、いつしか雲が多くなって霞が出てきた。

  緩やかな道をさらに進み、野根山の南南西あたりで荷を置く。

  ここから空身で道を外れ適当に北に登り野根山山頂へ往復。

  三等三角点が鎮座している。南の展望が開ける。

  岩佐関所までもうすぐだ。

  20分ほどでまず、川島家屋敷跡に着いた。古い石垣が見事。

  屋敷跡から岩佐の清水まではすぐ。ここで今夜の水を確保。結構流れている。

  少し上がったところが岩佐関所。

  あずまやや関所の門があり、よく整備されている。

  本日はここまで。

  安芸と阿波のお酒と一緒に晩ご飯を食べる頃、すっかり暗くなった。

  夜は次第に風の音が大きくなってくるが樹林中なのであまり当たらない。

  夜中、鹿の声とイノシシだろうか、歩く音がするがそのまま寝た。

  

標高900mから室戸の山並み(右はP946.5)  野根山から南を望む

 

野根山三角点                岩佐関所

 

【行程3日目】 行動時間 6時間20 天気 曇り

岩佐関所6:25〜お産杉7:00〜お茶屋場7:15〜7:20装束山7:30〜熊笹峠7:35〜

8:05宿屋杉8:20〜旧藩林8:40〜笑い栂9:30〜10:30米ヶ岡 白石神社10:40〜

町道分岐11:30〜朝休み11:55〜登山口12:20〜高札場12:40〜12:45奈半利駅

 

岩佐関所から宿屋杉へ

 朝、薄暗いうちに起き、珍しくラーメンの朝食。

 まだ薄暗い中出発する。

 空は一面雲に覆われ、風が強い。

 10分ほど歩くと背後がオレンジ色に染まって朝日が射す。しかしすぐに陰った。

 登りが急になって高度を稼ぐとお産杉に着いた。

 狼の話など謂れを読むとなるほどと思うが本当はどうなのだろうか?

 そこから勾配はひと段落し、少し先でお茶屋場への分岐がある。

 殿様が休んだところとのことで、昔の石畳みの道がよく残っていて感心する。

 次は装束山の山頂へ。

 あずまやの上からは南に室戸岬方面の山々が見渡せる。

 しかし、雲が厚く霞んでいて色も悪く綺麗には見えない。

 装束山から少し下った場所が熊笹峠で、明るいところだがあまり峠らしくない。

 ベンチが置かれていて景色を眺めながら休憩するには良い場所だ。

 目的地の奈半利の町が海とともに淡く見えた。

 次の鞍部では電波塔への道を分け、南西に山腹を巻いて下る。

 やがて尾根に乗り、そのまま下って林道とクロス。

 平坦な道となって宿屋杉に着く。

  4.5畳分もあるという杉の大木の枯れ木が見どころだ。

 小広く整備されており、しばらく休憩する。

熊笹峠

 

お産杉                   お茶屋場への石畳み

 

装束山から室戸の山並み           電波塔分岐の鞍部から北東を望む

 

 宿屋杉から米ヶ岡 白石神社へ

  出発してすぐ先に三里塚があり、道の両側に跡がよく残っている。

  やがて大きな杉の木が多くなってくる。

  平坦で歩きやすい道が続く。

  背の高い杉の森で、雰囲気が良くなってきた。

  尾根が広くなったあたりが旧藩林で、趣がある。

  野根山街道で一番雰囲気のある場所だ。

  杉並木がいかにも昔の街道といったところだ。

  しばらく楽な道が続き、久しぶりに登りとなる。

  三角点876mの西に登り着く。ついでに三角点に寄り道。

  さてここからは西に向きを変えやや急な下りとなった。

  標高810mで笑い栂に着く。周りは植林の中だ。

  妖怪の話が書かれてあり面白い。

  勾配は緩くなり、街道の石畳がところどころ残っている。

  お茶屋場や六部様を過ぎてどんどん快調に下っていく。

  林道をクロスするとほぼ道は平坦となる。

  平坦な道が結構長く続いた後、下りになると道は溝状になる。

  少しの下りで車道に出て登山口となる。

  すぐ横に白石神社の階段があり、神社に寄る。

  天気は少し持ち直した。

杉並木の街道をゆく

 

宿屋杉                   旧藩林に続く道

 

杉の森の木の根道              石畳が残る街道 

 

米ヶ岡 白石神社から奈半利駅まで

 さてここからはしばらく車道歩きだ。

 ところどころ、山道のショートカットを抜け近道。 

  やがてたんたんとアスファルト道を進む。

 久し振りに農作業の人の姿を見る。

 車道の三差路でまっすぐ茂みを進む山道に野根山街道の道標がある。

 この道に入ってみると、蜘蛛の巣だらけだ。

 巣を払いのけながら進むとだんだん藪が激しくなり、時間が掛かる。

 法面の横から車道に降りて、これ以降はしばらく古道に入らず車道を進む。

 街道跡は結構幅が広く、痕跡ははっきりと分かる。

 その後、立派な車道が左に大カーブする三差路に着く。

 ここでは簡易コンクリート舗装の狭い車道に入るが道標が何故か無い。

  しばらく下降すると、古道が斜めにクロスしており、左の古道に入る。

  やはり蜘蛛の巣が張り巡らされてあり、枝で払いながら進む。

  街道は1〜2mの幅があり、当時の街道の立派さが偲ばれる。

  進行左側に谷を望みながら明るい落葉樹に道が続く。

  やがて朝休みという小広く平坦な箇所に着く。

  その昔、安芸を出発して最初に休んだところらしい。

  右に尾根を外れ下り始めるとすぐに水飲み場だ。

  しかし、わずかな流れしかない。

  樹林越しに町の眺めが少し見え、風に乗って町の音も聞こえて来る。

  ひと下りで墓地のある一角に出る。

  墓地の間に続くコンクリートになった道をなおも下る。

  車道終点の小広くなったところが野根山街道の入口だ。

  賑やかに案内看板が立ち並ぶ。

  「野根山街道」「四国の道」の大きな道標も目立つ。

  さて、平野の一角に降り着いたので町に向けて最後の歩きだ。

  越えてきた背後を振り返ると山の奥の方は黒い雲に覆われている。

  水路に沿った曲がりくねった道を進んで、送り番所に着く。

  ここからは家並みが続き、細い生活道を中心部に向かう。

  最後の見どころ、高札場を見学し、国道を渡って奈半利駅へ。

  駅は立派で、鉄道は高架になっている。

  駅の下の店で買い物をしてホームに上がると発車時刻3分前。

  歩き通した充実感を楽しむ間もなく、列車に乗り込んだ。

 

朝休み手前の広葉樹を行く          平野に出たところから振り返る

 

高札場                   奈半利駅

 

  鉄道終端駅から別の終端駅まで、山を介して歩いたのは初めてかも知れない。

  野根山街道の長い歴史の一端に触れ、普段にない山行となった。

  それにしても、立派に道が整備されているにもかかわらず歩く人と出会わない。

  長く歩けるいい古道で、もっと賑わってほしいものだ。

  甲浦駅から奈半利駅までちょうど16時間。距離にして45Kmほどだろうか。

  前夜に甲浦入りしたが、2日間でしっかり歩くにはちょうどいい行程だ。

  久し振りに長めの距離を歩き通し、達成感があった。

 

posted by: horiuchi | 四国の山 | 19:35 | comments(0) | - |-