山行記録の検索
Calendar
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2019 >>
LINE
最新の山行記録
山行形態
コメント一覧
リンク
携帯用QR
qrcode
RSSATOM
南アルプス 令和初登頂なる 茶臼岳

JUGEMテーマ:スポーツ

 

南アルプス深南部縦走計画 CL H(他会),SL O(他会),K

 

年末年始の山行が終わって,すぐにGWの話題になった.北アルプスのとあるルートをということで,情報収集,ロープワーク,体力トレーニング,アイゼントレーニングなどを行ってきたが,GW直前になって天候があやしい.ギリギリまで待ってみたが,我々が核心部とみていた急傾斜の雪壁トラバースでの雪崩リスクがあまりにも高いだろうということで,南アルプス深南部縦走に計画を変更した.目標は光岳.

 

広島に来る前の東京在住時代に,よく通勤電車の中で南アルプスのガイドブックを読んでいたことが思い起こされた.とにかく長い.高低差も激しい.どのルートをとってもアプローチに時間とお金が掛かる.当時の自分にはなかなか手が出せない地域だった.

 

4/29

三次の自宅を350時に出発する.中国道を進んで,新東名から大井川沿いに北上して,千頭までやって来た.当初の予定では,千頭の道の駅に車を停めておくつもりだったが,観光客で満車状態.千頭駅裏の河川敷に駐車場があることを調べておいたが,どう見ても増水したら一巻の終わりだ.最終手段,千頭からタクシーを利用するのでタクシー会社にそれとなく相談する.期待通りタクシー会社の駐車場に車を停めさせてくれることになった.昼食後に畑薙ダムまでタクシーで行く.静岡から山梨あたりの方言のタクシー運転手の話は懐かしくも面白いが,眠気を我慢するのが少々つらい・・・.後ろのふたりは?

90分ほどでタクシーで行ける最終地点まで行く.ここには静岡県警の山岳救助隊の詰め所がある.寄っていってOさんが登山計画書を提出すると,雪が多い,その装備では厳しいのではないかとか,想定していた様子とはかなり違うらしい.例年に比べてかなり雪が多いとのこと.4/26に山行記録がインターネット上でアップされていたので出発前に確認していて,ちょっといやな予感がしたが,それでも上部に行けば雪は締まるだろうし,2000m付近のズボズボ状態を抜け出せばと考えていたが.とりあえず行ってみるしかない.

P4290007.JPG

救助隊の詰め所

P4290008.JPG

畑薙ダム周りの林道を進む

 

HさんもOさんも若い頃に南アルプスにかなり通ったとかで,出発した途端にペースアップする.うーん,ちと早いよーと眠気を感じる暇も無く進む.35分ほどで畑薙大吊橋につく.ふたりとも「あれ,こんなに小さかったかなぁ」とやや困惑気味.終いにはこの橋でいいのかなとか,そんなことまで言い始めるので「これでいいんです」という.

P4290009.JPG

畑薙大吊橋.4分もあれば渡れるが,なかなか高度感もあり,揺れもあるので少々怖い.

 

さて今回は,対岸に渡ってからダム沿いに北上してウソッコ沢沿いに茶臼岳から入る計画だが,最近では積雪期に畑薙山経由で尾根沿いにダイレクトに茶臼岳に登る人も多いらしい.その理由の一つはこの後で分かる.

 

少し行くと「ヤレヤレ峠」につく.まだ「ヤレヤレ」といった感じは全くないが,不思議な名前だなあと思う.

P4290016.JPG

今日の目的地はウソッコ沢小屋だ.今日下山してきた人の話では先行パーティーがいるとのことだった.多分そこに泊まるつもりだろう.ウソッコ沢小屋までは5つの吊り橋が架かっているが,昨秋の台風で3つが崩壊しているらしい.

IMGP2304.JPG

吊り橋を渡る.人数制限がかけられている.

 

ウソッコ沢をしばらく進むと,崩壊した吊り橋に替わって,木橋が渡されている.

IMGP2306.JPG

 

IMGP2308.JPG

正規ルートも崩壊しているので,ロープを張ってある急傾斜を慎重に登る.

 

P4290024.JPG

崩壊した吊り橋.

 

P4290028.JPG

ウソッコ沢小屋

 

2時間ほどでウソッコ沢小屋に到着する.予想通り,先行パーティー2名が泊まっていた.誰も来ないと考えていたらしく,一人が慌ただしく片付けを始めてくれた.もう1人は昼寝中らしい.

この小屋は窓を閉め切ってしまうと真っ暗なので,日中でもヘッドライトは必要だ.水を汲んできて,とりあえず持ってきた少々のお酒を飲みながら早めの夕食にする.先行パーティーの二人に声をかけてみた.お一人は71歳の方で,明朝は5時頃出発するとのことだったので,大体私たちと一緒だ.

 

4/30

今日はつらい一日になるだろうと覚悟して起きる.よく眠れなかった・・・.夜中にOさんがネズミらしきUMAが走り回ったりしていたらしく,起きていたことにも気がついていた.対面に寝ていた二人組の食器がカチャカチャ鳴る音もしていた.でも寝られなかったのはそういうことが理由ではないが,今日はつらくなるだろうと.天候も悪いことも分かっている.食欲もない.

さて,年末年始の山行でM社が販売している新しいアルファ米を使ってみたが,今回もそれを使うことにした.3分で食べられるようになるので,朝はとても便利だ.いつもなら2つ食べるが,今朝は一つだけ.

調理を始めるが二人組は起きる気配がない.既に外は雨だ.結局5時半に出発する.

 

P4300034.JPG

横窪峠から見た横窪沢小屋の遠景

P4300035.JPG

横窪沢小屋

 

1時間半で横窪峠に着くと,横窪沢小屋が見えた.ここから左手に正規ルートがあって,その先に吊り橋が見えるが,完全に斜面が崩落していて,右手の樹林帯を慎重に降りていく.沢を渡渉して,横窪沢小屋に着く.ここは夏季の営業小屋になっているので立派だ.まあ,ここまではなんとか順調だろう.

 

昨日下山してきたイケメン若者の話では,1900m付近から雪がついているとのことだった.地元の小学生がつけた標高を示す看板が木につけられている.1700mを越え,1900m付近に掛かると若者のいう通り雪が出て来た.その後中間地点の「倒木休憩所」があるが,ここから急坂になって,雪が深くなっていった.

 

P4300040.JPG

標高1900m付近

P4300041.JPG

ズボズボ地帯

 

IMGP2328.JPG

急登と雨の中を辛抱強く登る.

 

腕時計の高度計は,低気圧が接近しているのか,高度差200m登っても30m程の誤差が生じる始末で,あてにできない.徐々に疲れで脚が重くなってきた.身体が温まれば何とかなるかと期待していたが,流石に音を上げてしまった.Hさんはふみあとを残してくれているが,全く姿は見えない.Oさんに「まあ自分のペースで行こう!」と言われたものの,あてにできない腕時計の高度計を見ても,まだまだ先は長そうだ.ふみあとがあるから何とかなるだろうと思って先に行ってもらっても構いませんというと,「それはしないよ.」といわれ,優しさに包まれる.腹式呼吸をしばらく続けて息を整え,立ち上がる.

ズボズボはまるたびに体力が持って行かれるのを感じつつ,「伸張反射のなせる技かな」と心の中では詩吟気分.

 

がんばって登って行くうちに,Hさんのトレースが左に急ターンして,トラバースが始まった.もっと高いところまで登るのかと思っていたが,思ったよりも山小屋が近いということか.それにしてもよくトラバース地点が分かったものだと感心しつつ,「Hさんの本能ですかね?よく地形読めますね.」というと,トレースがあったんじゃないかとOさん.果たしてどうなのか?

P4300042.JPG

茶臼小屋遠景

 

既にOさんはびしょびしょだし,自分も汗だくだ.結局雪と雨の中を6時間で茶臼小屋に到着する.中ではHさんが既にシュラフに入って休んでいた.訊いてみると,トレースがあったのでトラバースしたらしい.何となくがっかり?

とにかく雨や汗で濡れた身体を乾かすことにした.しばらくガスをつけていたが,誰も来ないだろうと判断して,小屋の中にテントを張って温めながら濡れた衣服を乾かすことにした.結局二人組は小屋には来なかった.小屋は貸し切り状態になった.

 

P5010046.JPG

茶臼小屋を出発する.

 

5/1

今日も天候は悪い予報だ.しかも気温が高い.燃料もかなり使ってしまった.事実上縦走は諦めざるを得ない状況だ.いずれにしても茶臼岳を目指すことにした.6時半前には小屋を出る.15分程度で稜線にでるものの雪はシャーベット状態で,ズボズボ地帯はつづく.これでは縦走はとても無理だと理解する.

 

P5010048.JPG

雪の切断箇所も.

 

稜線に出てから意外と苦戦したものの,小屋から30分ちょっとで頂上に着く.相変わらずしとしと雨が降る.視界は全くきかない.

IMGP2335.JPG

茶臼岳頂上

 

さあ,下山開始だ.小屋までは18分ほどで戻って,荷物をまとめて下山開始する.Oさんは本当の軽アイゼンと,折りたたみ式のストックなので,慎重に降りていくしかない.急傾斜を降りつつも,ズボズボはまっては疲れる.ズボッとはまってバランスを崩して背中側に倒れてしまうと最悪だ.下山方向に頭があってなかなか起き上がれない.ザックをはずそうかと思ったが,ピッケルを打ち込んでみるとこれが効をなして起き上がることが出来た.ピッケル様々だぁ.と,そんなことを思いつつ,なんとか下山していくが,樹林帯に入るとズボズボはまる.木と木の狭い間を抜けるときには要注意だが,両足の均等荷重から右脚に荷重を移動したらズボッとはまってしまった.見るとアイゼンのツァッケがレインウェアのパンツに突き刺さっている.でもまだ小さい穴だから,慎重に脚を雪から抜きに掛かる.がーん,実際には更にその下がすっぱりL字型に切れてしまっていた.ちょうど膝周りのあたりが40%程綺麗に切れている.仕方ない,そのまま進む.気にしないことにした.帰ってから直せるか考えるしかないのだから.

 

IMGP2349.JPG

濡れた階段を注意して降りる.

 

畑薙ダムがようやく見えてきた.殆どノンストップに近い.そして最後の登りを登ったところで「ヤレヤレ峠」について最後の一本を入れる.「ヤレヤレ」と声が出て,はっと気がつく.「ヤレヤレ峠」の意味はそうだったのか,下山者がここまでたどり着いて「ヤレヤレ」と思うのかと.

 

下山の途中で気がついたのだが,実はこの日から元号が令和に変わっていた.間違いなく我々が茶臼岳令和の時代の初登を達成したはずだ.静岡県警に言ったら何かご褒美もらえないだろうかと冗談を言っていたが,どうだろうか.

 

大吊橋を渡って,もう勘弁して下さいと思ったところで救助隊の詰め所に着く.令和初登の話しをするが,「いや,そういうものは・・・」とまじめな救助隊員さん達は困惑気味.こちらは冗談なので気にしない.さて,いずれにしても更に下って,公衆電話があるところまで行かねばならない.公衆電話はダムの事務所前のバス乗り場にあった.公衆電話用に小銭を残しておいたが,見るとテレフォンカード専用機だった.幸いにもOさんがカードを持っていたので,大鉄タクシーに電話をして,バス停で雨宿りしながら待つことにした.

結局5時間半で1700mを一気に降りきった.大体前部のストレッチをみんなでするが,足がつってしまうので,まずは裏側のストレッチをして,徐々に脚をほぐしていくことにした.

 

前々から予想していた島田のホテルに連絡を入れ,今晩は島田に泊まることにした.夜は不思議な中華料理店に入った.島田なのに高齢のご主人は何故か関西弁を話す.

そして翌日は渋滞に思ったよりも時間がかかりながらも無事広島に帰ってきた.GWの後半は家族とゆっくりと思っていたが,子供と自宅から1卍離れた公園でボール蹴りやかけっこをして遊んだ.保育園の運動会が近いので,奥さんと自分とどちらが出るかで競争して,3戦全勝!負けるわけないと思っていた奥さんは不思議がっていたが,簡単に負けるわけには行かない.少しは子供も見直してくれたようだ.ああ悲しいかなお父さん.GW期間中もまた間違われてしまった.「まあ可愛いお孫さんと一緒でいいですねぇ.」.娘だっていうの!!

 

南アルプス深南部はほろ苦い山行だったが,山の奥深さを感じさせてくれた.ありがとう,茶臼岳,令和初登なり.

 

 

 

posted by: kussan | 関東他 | 21:39 | comments(0) | - |-